米国:コロナ対策への反動が公衆衛生と今後のパンデミック対応の足かせに
03/09/2023
Covid backlash hobbles public health and future pandemic response (Washington Post)
保守派と個人の自由を重視するリバタリアンが推し進めた法制により、各地の公衆衛生システムが多くの力を失った。最低でも30州、共和党が多数派を占める議会により2020年以降、公衆衛生当局の権限を制限する法律が成立している。コロナ禍で、公選職でない公衆衛生担当の役人によって自由が制限されたことへの反発がその動機のようだ。
すでに全米の半分以上で、保健当局や州知事が州議会の承認なしで、マスク着用や学校閉鎖、その他の感染防止の緊急対策を新規に出すことが制限されている。2020年以来、地方、州、連邦の各レベルで公衆衛生対策に関する1000以上の法判断が下されている。
例えば、アラバマ州では商業施設がコロナワクチン接種の証明を求めることを禁止。フロリダ州では学校がコロナワクチン接種を義務化することを禁止。テネシー州では非常事態宣言下であっても、教会における集会の中止を求めることはできない。
このような公衆衛生施策の弱体化の影響はすでに顕在化している。オハイオ州コロンバスでは、昨年11月はしかに感染したこどもが、ショッピングモールを徘徊した。同市では2021年の法改正で、衛生局長が伝染病の疑いのある住民を隔離する権限がはく奪されていた。
専門家は、次のパンデミックがやってきた時に、多くの公衆衛生当局は感染対策を始める前に州議会等の承認を得なければならず、その結果対策が遅れ、失われなくてもいい命が失われる可能性を指摘する。