米国:報道の自由を守る最も重要な最高裁判例が危ない
01/23/2023
The Most Important Supreme Court Precedent for Freedom of the Press Is in Jeopardy (Slate)
連邦最高裁判所による報道の自由に関する1964年の「ニューヨーク・タイムズ対サリバン事件」は、「公人の場合、報道された情報が虚偽であるという理由だけでは名誉毀損は成立しない」とした判決。原告側が、報道記者や編集者に「悪意があった」があったことを証明しなければならないとした。その根拠は、公益に影響する問題は、制約なく、自由に、幅広く議論されるべきだから。アメリカ合衆国憲法修正第1条 が保障する「報道の自由」に関する画期的解釈と考えられている。この判例が過去60年間、政治家を含む公人の責任をより明確にし、報道機関はより深く追及する道具を与えた。この判決が米国の報道機関を行き過ぎた自己規制から守っている。その結果、アメリカ市民はより深く知る機会を得てきた。
しかし、この判決の見直しは国内の保守派の念願のひとつ。行き過ぎであったという意見を持つ複数連邦最高裁判事が、見直しを求めている。保守派が支配的多数を占める連邦最高裁判所では、連邦レベルにおける女性の妊娠中絶の権利を保障した「ロー対ウェイド事件」が覆された。