マラソンなど過激な運動で大腸がんにかかりやすくなる?

最近の研究が50歳以下の大腸がん患者の増加が指摘され注意が喚起されたが、今度は、40代のマラソンやそれ以上の距離を競うウルトラマラソン愛好者の大腸がん発症率が、同じ年齢層一般人口よりも多いのではないか、という予備調査の結果が発表された。50歳以下はがんのリスクが低いとされ、さらにランニングには、肥満防止やストレス軽減などの多くのがん発症を防ぐ要素と結び付けられてきた。しかし、3人のマラソンを愛好する40代の進行がん患者に出会ったがん専門医ティモシー・キャノン博士は、過激なランニングと大腸がんの関係に注目し、35-50歳の100人のマラソンやウルトラマラソンランナーを集め、大腸内視鏡検査を行った。その結果、約半数にポリープが見つかり、15%にガンになりやすい進行したアデノーマ(大腸腺腫)が見つかった。アデノーマは一般では40代の4-6%と、大腸がんにかかりやすいと言われる一部のアラスカ先住民の12%よりも高い。

過激な運動がこの種のがんのリスクを高める可能性については、シカゴ大の消化器内科部長のデイビッド・ルビン医師は、キャノン博士の調査には、比較対象となる同年代のマラソンを走らない被験者が含まれていなかったり、マラソンを走る被験者の家族のがん履歴などが含まれておらず、今後より詳しい調査が必要だと指摘する。過激な運動を続けるランナーの体が慢性的な炎症状態にあり、それが繰り返されることにより細胞がダメージを受け、ガンの発症につながるという仮説にはさらなる調査が必要だ。現時点では、胃痙攣や下痢、血便などの症状を経験したランナーは医師に診てもらうことを推奨する。米国では、若年層の大腸がんの増加に対応するため、2021年に健常者の最初の大腸内視鏡検査を推奨する年齢が50から45歳に下げられた。

Are Marathons and Extreme Running Linked to Colon Cancer? (New York Times/有料記事)
Researchers Find Strange Link Between Marathon Running and Cancer (Gizmode)