私論:値段変わらないのに、セカンドブランドに満足してていいの?

明日は参議院総選挙の投票日。この選挙で注目を浴びる新興政党について少し考えてみた。2年ぐらい前かな。遠方の友人から、選挙で娘さんが「『参政党」から出馬することになったので、応援をよろしく」と取引先から投票を頼まれたけど、どう思う? と訊かれたことがあった。友人は参政党なんて聴いたことなくて、「無農薬農業に力を入れてる」みたいな話だったと。少し背景をきくと、その娘さんのお父さんは自民党の地方議員で、友人は付き合いで応援していた。でも前回、落選して引退。地盤を娘さんに継がせようとしたけど、自民公認が得られなかった。そこで参政党から出馬ということになったらしい。

この党の候補者が全員そうだとは言わないけど、本質をよく表していると感じた。自民党から出られるならそっちを選ぶ。公認は得られないけど、議員にはなりたい。地元保守系のツテを頼ったら参政党と繋がった。ニッチ票が集まり当選の可能性が高まるなら、公約・政見は党の方針に合わせる。今の状況は、外国人に対する排他的なスタンスが受けるからやっている。昔から主張してきたわけでも、詳しいわけでもない。そこに長期的なビジョンはない。

参政党って、実際のところ自民党の「セカンドブランド」と位置付けられないだろうか。排外/国粋主義、反LGBT、反ワクとか、戦後保守政治の伝統と政権政党という看板(あくまでも看板ね)を背負っている自民党としては表立って約束できない公約(一部の特定支持層を狙う候補もいないわけではないが…)を掲げる。多分、自民党のコアな支持層の票は浸食しないけど、より右寄りな政策を求める層にアピールすることで、反自民票が中道や革新的な候補へ行く代わりに、こちらで吸収する。

乱暴な言い方すると、ユニクロとGUみたいな関係。安価なGUを買っている層も、歳とったり収入が増えたらユニクロへ来てくれることを期待してるみたいな。今は少し尖ったやんちゃな主張に共感して惹かれているけど、そのうち落ち着いて自民を支持する保守派に流れてくることを期待して、別ブランドのふりをさせ、陰から見守る。GUの一番の売りは、価格が安いことだけど、選挙権は憲法が保障する国民の権利、日本国籍を有する満18歳以上ならだれでも、所得や財産、職業に関係なく、1票与えられる。だとしたら、わざわざ劣化版「セカンドブランド」を選ぶ必要あるの? 多分、参政党の幹部も自分たちの「旬」は短いと分かってやっている。選挙後、自分の思っていた候補、政党じゃなかったと気づいて後悔しても遅い。よく考えて投票しないとね。

Editor's note マストドンに約1カ月前に投稿した内容を修正・加筆したものです。