ロバート・ライシュ:ベビーブーマーが米国民主主義を台無しに

ニューヨーク・タイムス紙のロバート・ライシュ氏へのインタビューです。日曜に夕方、ランニングしながらポッドキャストで聴きました。クリントン政権の労働長官をしたほか、ハーバード、ブランディス、UCバークリーなどで長年教鞭をとってきたが、今年退官した。最後の学期を追ったドキュメンタリー映画「Last Class」が米国で公開中。自伝的な新著「Coming Up Short」ももうすぐ出版される。

TikTok、YouTube、Sebtrackなど新しいメディアを使い精力的に発信を続ける79歳。そのメッセージは一貫して「不平等」が、経済、人種、政治のどの分野においても、社会不安を増大させ、民主主義に対する信頼を損ない、そこに扇動的な政治家がつけこむスキを与えるというもの。戦後世代が民主主義を守れず、拝金主義に溺れ、その結果、貧富の差が拡大、中流階級が縮小したことにより、トランプが出てこなくとも、民主主義を破壊する方向へと進んだだろうと。問題はトランプでなく、社会全体が寄ってたかって自分たちを抑圧し陥れていると、憤慨し信じる労働者/貧困層を増やしてしまったことにある。

このインタビューでライシュ氏は、「いじめっ子」(bullies)が容認される社会を許した戦後80年、特にベビーブーマーの役割にも言及。背が低いことから、小学校からいじめられてきた自身の経験に基づき、どう対処すべきかヒントを落とす。彼をかばってくれた年上の友人が、後に公民権運動家になり、南部でKKKに殺害されたことが彼のキャリアに大きな影響を与えたことも語っている。

民主党が、共和党と同じ大企業からの献金に頼るようになり、長年の支持母体であった労働者階級に見捨てられつつあることに警鐘を鳴らす。30代のAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員)やニューヨーク市の民主党市長候補となったゾーラン・マンダニ(Zohran Mamdani)氏に期待するものの、都市部と両岸の大卒層の支持に依存する民主党内の進歩派が、ギリギリの賃金で食いつなぐ多くの労働者の支持を得られるかには疑問も。
The Interview: Robert Reich Thinks the Baby Boomers Blew It (New York Times)