アメリカンヒーロー、スーパーマンは87年前からずっと違法移民

映画「SUPERMAN」が公開されたばかりだが、ジェームズ・ガン監督の英国紙のインタビューが波紋を呼んでいる。「(スーパーマンは)他所からやってきて米国に住み着いた移民のひとり。我々が失いつつあるもの、人間の基本的な価値観、優しさや親切心を描いたストーリーだと思う」。これに対してFOX Newsなど右翼系メディアが反発。「Super Woke」(超意識高い系)に偏向した映画として攻撃している。第一期トランプ政権で大統領顧問を務めたケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)は、「映画館へ行ってまで説教されたり、イデオロギーを吹き込まれるのは御免」と語る。保守的な映画業界関係者からも映画のプロモーションに移民問題を絡めるのは大きな間違いという意見も。

スーパーマン研究家は、「スーパーマンが難民もしくは移民であることは、87年前コミックが発行されて以来キャラクターの根幹で、後付けやこじつけではない。彼は地球、米国にやってきて、星条旗やアップルパイのようにアメリカ文化に溶け込んだ」と説明する。振り返れば、原作コミックの作家たち(ライターと漫画家)はふたりとも、反ユダヤ主義が吹き荒れるヨーロッパを逃れたユダヤ系移民のこどもだ。スーパーマンは、87年間違法移民だったかもしれないが、アメリカのすばらしい部分を体現したスーパーヒーローなのだ。皮肉なことに、強引な違法移民摘発を続けるトランプは先週、SNS上に自分がスーパーマンに扮したAIイメージを投稿した。

What the ‘Superwoke’ debate over ‘Superman’ overlooks (CNN Entertainment)