政治の二極化は、イデオロギーでなく、心理的要因で起きた

シカゴ大政治学教授が陰謀論者研究を進めるうちにたどり着いた仮説。アメリカの二極化は、「イデオロギー」ではなく「心理的」なもの。21世紀、米国、そして世界の政治は、政党に何を求めるか、こういう施策を求めるなどの政策中心でなくなった。理性主義に対する嫌気から直観主義に転じた層、伝統的に「持てる者のため」の保守/右翼政党が取り込んでいる。その結果、科学や理性を共通項として支持者をまとめてきた中道から左側の政党を難しい状況にしている。本来、労働者や貧困層を搾取し富裕層を優遇する「反ポピュリスト」的政策にもかからわず、トランプやハンガリーのオルバンなどは、労働者や低所得層の支持を得ている。幼い子供がお化けを怖がるのと同じような原理で騙され彼らは、移民やトランスなどを差別、排斥する政治家、政党に引き寄せられている。

America’s political divide is psychological, not ideological (FLUX)

2018年の著書でエリック・オリバー教授はこの流れを予言していた。Enchanted America: How Intuition and Reason Divide Our Politics (The University of Chicago Press)

Editor's note これまさに参政党の変節と今の状況を説明できる仮説/理論。陰謀論からロバート・ケネディJr.に興味をもち、次には排外主義を取り込みトランプ信奉へと向かう過程が説明されている。ビデオは長いですが(トランスクリプト有)、時間があれば観るか読んでください。「差別に投票しない」というキャッチフレーズでは、彼らの恐怖を拭い去り、投票先を変えることはできない。なぜなら、彼らの投票行動の根底は、直観、感情であって、理知的な会話との親和性が低いから。