遠い出来事にうつくしく怒るだけでいいのか?

私は在日米軍の通信基地の近所で育った。難視聴地域だったので、テレビは町内会のケーブルTVで観ていたが、ラジオは雑音だらけで、ほとんど聴けなかった。だから、当時大人気だったDJ「レモンちゃん」こと落合恵子さんの番組は聴いたことがない。今日のランニング中に聴いたピーター・バラカンさんの番組のゲストが落合さんで、ご自身が翻訳された米国の人種差別をテーマにした絵本「ママたちが言った」を紹介していた。1945年生まれという彼女の声は、すごく魅力的で、当時の若者が虜になったもの無理はないと思った。

バラカンさんは、「この本はアメリカの黒人向けに書かれていると思うけど、日本人に興味を持ってもらうのは難しくないでしょうか?」と尋ねた。

「その通り」と答えた落合さんは、「この本を2刷、3刷までいっぱい売って、日本のケースを絵本にしたい」と希望を話す。関東大震災の時の在日の方々の話は、映画や本で少しづつ掘り起こされているが、まだまだ私たちには遠い話になっていると。

詩人の石川逸子さんの「」という作品の中の一節、「私たちは遠い出来事にうつくしく怒る」を紹介し、「海の向こうの出来事は差別だろうと、うつくしく許せない』と怒ってみせるけど、「じゃ、自分たちの内側はどうなのか?」という石川さんの問いかけに、落合さんは、答えなければならないと、考えている。「日本で何が起きたか、それを(日本のケースを扱った)絵本で小さい時に学んでいただきたい」と。

私がこのサイトでやりたいのは、「海の向こうの出来事」を紹介することで、そこから日本で起きている似たような事に目を向けてもらうこと、彼らの成功や失敗から学べないか、ということ。もうそんなに時間は残ってないかもしれないけど、いつかは私も、自分の内側について書きたい。

The Lifestyle Museum (Tokyo FM)