ナミビア:20世紀初頭の大量虐殺犠牲者の子孫が自国政府とドイツの合意に不満、直接交渉を求めて訴訟起こす
02/06/2023
Descendants of Namibia’s genocide victims call on Germany to ‘stop hiding’ (The Guardian)
1904-08年に起きたドイツ帝国による西アフリカ(現ナミビア)のナマクア族とナマクア族に対するジェノサイドの犠牲者の子孫たちが、ドイツが彼らと直接賠償交渉に応じるように求めている。2021年にナミビア政府とドイツ政府の長年の交渉の末、ドイツ側が虐殺を認め賠償金11億ユーロを30年間に渡り支払うことで決着した。しかし、ナマクア族とナマクア族は、この決着は直接の被害者であったグループの参加と合意なしに行われたものであるとして、訴訟を起こしている。
ドイツ帝国による植民地化に反対した2つの民族グループは、ヘレロ族の80%、ナマクア族の50%が殺害され、その数は3万4000から10万に上ると推定される。現在のナミビアでは少数派で政治的な影響力の弱い。
両政府の宣言は、ジェノサイドについては「今日の見方によれば」という条件付きで虐殺の事実を認め、謝罪したものであった。ドイツ外務省は、「ジェノサイド」という用語については、歴史的意味合いで使われたものであって、法的責任は認めてはいないという見解だ。その理由として、1948年12月のジェノサイド条約以前には適用されないからだとする。
しかし、ドイツ側の立場は、文明国と未開国を分けて考えるヨーロッパ植民地支配国側の歴史的な法解釈に基づくものであり、このような人種差別的区別は通用しないと、ナミビア側弁護団のアドバイザーは主張する。この訴訟は今後の進展次第で、旧植民地側の宗主国に対する賠償請求の突破口になる可能性もあると加える。