インド:2002年暴動におけるモディ首相の役割を追ったBBCドキュメンタリーを検閲

India invokes emergency laws to ban BBC Modi documentary (The Guardian)

India: The Modi Question (BBC)

インド政府は、2002年に西部のグラジャート州で起きた暴動とナレンドラ・モディ首相の関連を検証したBBCドキュメンタリーを、緊急法を使って国内での放映を禁止した。

BBCのドキュメンタリーは、当時グラジャート州主席大臣だったモディ氏が、「民族浄化に加担した疑い」を指摘した。ヒンズー教徒とムスリム教徒の敵対に端を発した暴動では、1000人近いムスリムが死亡したと云われる。モディ氏は、ヒンズー過激派側に立ち、少数派のムスリム地域を十分に守らなかったとの疑惑を当時から持たれている。しかし、2013年、最高裁はモディ氏について、訴追する十分な証拠が見つからなかったとの判断を下している。

ドキュメンタリーの第1話はインド国内ではまだ放送されていないが、英国で放映されたビデオの違法コピーがすでにSNSなどを通じて広がっている。

インド政府はドキュメンタリーは「内容が偏向しており、客観性に欠ける。帝国主義的思考が明白だ」、「ドキュメンタリーというより、特定の見方を押し付けるプロバガンダ」と批判する。BBCドキュメンタリーは、証明されていない内容を含み、インドの主権と威厳を傷つけるものだとして、TwitterとYouTubeには、ビデオクリップのアップロードやリンクを掲載するアカウントの凍結を命じた。

モディ政権下では、政府による検閲が強化され、報道の自由を求める野党やジャーナリストには、司法手段を含む嫌がらせも増えている。