米国:いくつになったら政治家は引退すべき?

In Politics, How Old Is Too Old? (The New Yorker / Podcast)

ロナルド・レーガン大統領の時代、68歳は大統領として高齢だと思われた。しかし、2024年の大統領選では、80代の2候補が大統領の座を争う可能性が出てきた。米国人の平均寿命は78歳。そう考えると80歳を超えた大統領は高齢すぎると思うかもしれない。しかし、78歳まで生きると平均余命は88歳。

コロンビア大の老年学者、ジャック・ロウ博士は、40歳ぐらいだと健康状態はかなり均一だが、80歳ともなると個人差が非常に大きいと語る。また、平均的な80歳は30歳のようにふるまうことはできないが、30歳並みの身体能力を保っている80歳もいないわけではない。

年を重ねるにしたがって、心理的な安定性が増すという研究結果もある。また、紛争解決に関しては、正義にこだわる若者より、ウィンウィンな状態を求める高齢者に分があるとも。

ロウ博士によると、バイデン氏もトランプ氏にも、認知力の低下がみられるとは思えない。もしも、認知力に問題が出ているなら、出馬すべきではない。しかし、ダイアン・ファインスタイン上院議員のように、何度も認知症の傾向が指摘されても、議員を続ける例もある。

高齢の議員に認知テストを課すべきか、という質問に対して、ロウ氏は反対だという。長くて過酷な大統領選挙戦を戦い抜ける体力・能力があるなら、年齢は意味ない。高齢でも体力・認知力、精神的な安定を保つことは可能なので、議員、裁判官などに年齢制限をするのは現実的ではないと。

ロウ氏は「高齢そのものは病気ではない。高齢になれば病気にかかりやすくなるが、病気にかかるのは年齢のせいではない」

Editor's noteこのポッドキャストは高齢者には「集団自決」が必要だと考える学者・コメンテーターが人気の国でも、年をとるという誰もが避けられない事象について、冷静に科学的に考えるきっかけになってほしい。